シリーズ:メディアの疑問、分析してみた
こんにちは、田島です。
昨日公開した記事「スマホを意識した記事タイトルとは?ーー読者の期待をコントロールする」について、こんな反響をいただきました。
スマニュには「こんにちは、〇〇です(改行)」とライターの自己紹介から始まっているテキストのプラットホーム上での離脱率を教えてもらいたい…もしあんまり離脱率に関係ないようだったらそういう記事増やしてもいいのかもなと思っている(現状は「貴重な1パラ自己紹介で使うのもな…」となっちゃう
— 青柳美帆子 (@ao8l22) June 18, 2019
記事の書き出しに迷う時、挨拶から入るライターさんもいらっしゃるかと思います。そこで、実際にSmartNewsで配信された記事の中で、挨拶から入る文章と直帰率には関係があるのか調べてみました。
「挨拶から入る記事」は、最初の文章に「こんにちは」「どうも」といった単語が含まれる記事、と簡単に定義しました。
挨拶から入っても直帰率に大きな差はない
分析にあたり、「挨拶から入る記事」と「挨拶は省く記事」を比較する際に、媒体ごとの影響を小さくするような絞り込みを行いました。具体的には、挨拶から入る記事の割合が全体の30〜70%に収まり、かつ一定の規模がある数媒体の記事のみ分析対象としています。
グラフ中の各点は一つ一つの記事を表しており、円の大きさはページビューの大きさを表しています。青い点が挨拶から入る記事で、赤い点が挨拶を省く記事を表します。
横軸は直帰率で、右に行くほど記事を読むのを5秒以内にやめてしまった人が多い記事となります。そして縦軸はクリック率で、上に行くほどChannelViewからタップされて記事を読まれる確率が高い記事です。
このグラフを見ると、横軸のばらけ具合に大きな差はないように思えます。つまり、挨拶から始まっていても、それが原因ですぐに離脱することはないということです。
これは、スマホの画面中には挨拶の段落と、タイトルが提示する主題のリード文が同時に表示されており、記事をタップした段階で、スクロールせずに導入部分を伝えられているからではないかと考えられます。
また、円の大きさ=ページビューは挨拶から入る記事の方が全体的に小さいようです。おそらく、挨拶から入る記事は、編集部の記事よりも媒体の読者ブロガーの記事に多く存在するため、平均的にヒットが小さくなっているからではないでしょうか。
挨拶を入れることで、ライターを認知し、ライターに惹かれて読み進めるといった体験は、ブログサービスではよく起こり得るのではないかと思います。しかし、SmartNewsのようなコミュニティがない空間・アグリゲーションサービスの場合は、ライターに惹かれて読む体験は少ないため、挨拶から入る文章が読み進める上でプラスに働くわけでもなさそうです。
なお、SmartNewsに記事配信をいただいている9割以上の媒体では、挨拶から入る記事はほぼありませんでした。
このMedia Techブログは、スマートニュースのメディア担当チームが運営するブログです。テクノロジーを活用した次世代のメディアとはどういうものか? そうしたメディアをどうやって創り出していくのか、を考えていきます。今後も、SmartNewsのデータを分析して得られたインサイトの提供を行う予定です。
著者紹介
田島将太(たじま・しょうた)
メディア事業開発 プロダクトマネージャー
2016年東京大学教養学部卒業。2016年9月スマートニュース株式会社に入社。メディアパートナーとのアライアンス、データ分析、およびPublication Networkプロジェクトのプロダクトマネージャーを務める。
本記事は筆者と編集部の独自の取材に基づく内容です。スマートニュースの公式見解ではありません。