Media × Tech

「Media × Tech」ブログはスマートニュースのメディア担当チームが運営するブログです。テクノロジーを活用した次世代のメディアとはどういうものか? そうしたメディアをどうやって創り出していくのか、を考えていきます。

「今集中しているので話しかけないで!」自分のステータスでコントロールできるビデオ会議サービス「Pragli」

新型コロナウイルスの影響は、プライベートや仕事の急激な変化を余儀なくした。テイクアウトやリモートワーク、ビデオ会議など、これまで以上にオンライン対応が進んでいる。

 

こうした世の動きに合わせて新たなオンラインサービスが次々に登場。さらに以前から存在していたサービスが評価されたり、新たな活用方法が見いだされるなど、オンラインサービスとテクノロジーを取り巻く状況も大きく変わりつつある。

 

本連載では、こうしたサービスを取り上げながら、Media×Techのテーマである「テクノロジーを活用した次世代のメディア」を実現するための手法を考えていきたい。

 

第1弾として取り上げるのが、リモートワークの要とも言えるビデオ会議サービス。ビデオ会議のサービスとしてはZoomがデファクトスタンダード化しつつある一方、個性あふれる競合サービスがいくつも登場している。今回紹介する「Pragli」もユニークな視点を持ったビデオ会議サービスだ。

 

出席できる? できない? ビデオ会議に対するステータスを表示

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ビデオ会議サービス「Pragli」

 

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Pragliがユニークなのは、ビデオ会議に対してユーザーのステータスが紐付いているところだ。

 

全体的な仕組みとしてはゲーマー界隈で人気のコミュニケーションプラットフォーム「Discord」に近い。ユーザーはPragliにアクセスしたのち、ビデオ会議のためのルームに入室することで映像や音声でのコミュニケーションが可能だ。初期設定ではアバターを表示するが、自分のカメラを使ったビデオ会議も利用できる。

 

最初にログインすると、ユーザーは「Main Office」に表示され「出社」状態であることがわかる。Main Officeでのコミュニケーションはユーザー間でのチャットのみで、ルームへ移動すると自動的にビデオ会議がスタート。時間になっても参加していない人がいた場合、自分がいるルームへ呼び出せるようになっている。

 

ログインすると「Main Office」に表示され「出社状態」に

 

ただし、ルームへ呼び出せるのは相手のステータス次第、というところがポイントだ。相手のステータスが「集中」になっていると呼び出しの際に「相手は集中しているぞ、邪魔してでも呼ぶのか?」というアラートが表示される。さらに相手のステータスが「ブロック」になっていると呼び出すことは一切できない。

 

f:id:sotakaki_sn:20200827172841p:plainMain Officeではチャットで連絡

 

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相手がオンラインの時はチャットとビデオ会議への呼び出し(Request)が可能

 

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オフラインの時はメール経由で通知を送れる

 

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相手が集中モードの時はビデオ会議に呼び出すかどうか確認できる


f:id:sotakaki_sn:20200827173015p:plain相手がブロックモードの時はビデオ会議への呼び出しができない

 

ステータスはいつでも呼び出しを受ける通常状態のほか、呼び出しの際にアラートを出すか、一切呼び出しに応えないの3段階だが、それぞれのステータスには名前とほどよい時間が設定されている。たとえば昼食なら1時間15分、コーヒータイムなら10分といった具合だ。いちいち細かい時間を設定しなくてもステータスを変更するだけで時間ができるし、いつもより長い昼食を取るなら時間を変更してもいい。

 

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ステータスの変更。食事や犬の散歩、コーヒー休憩といったステータスが用意されている。自分でオリジナルのステータスを作ることも可能

 

ビデオ会議もルームに参加するだけで始まるのでトラブルも少ない。時間になったのにビデオ会議のURLが発行されない、どのURLにアクセスしていいのかわからない、という悩みとは無縁だ。

 

面白いのが、ステータスは複数の組織で共有していることだ。例えば本業と副業でそれぞれPragliを使っている場合、ログインするとどちらのMain Officeにも自分が表示される。複数のチャットそれぞれでステータスを1つ1つ変えていく、なんて手間はPragliなら必要ない。

 

オフィスで働いている時、集中して作業したいのにもかかわらず同僚や上司に話しかけられて気が削がれる、という経験は誰しもあるだろう。オフラインでは防ぎようがないこの状態も、Pragliなら自分の状態をきちんと示した上で作業に集中することができ、自分の時間と共有の時間をうまくコントロールできる。

 

当初は6月まで無料の予定だったPragliだが、サービスの安定化と新機能のために無料期間を11月1日まで延長した。この機会にPragliを試してみてはいかがだろうか。

 

著者紹介

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甲斐祐樹(かい・ゆうき)

大手電機メーカーにてシステム営業に従事したのち、株式会社インプレスで、Webニュース記者としてブロードバンドやオンラインサービス、ソーシャルメディアを中心に取材する。2009年にアジャイルメディア・ネットワーク株式会社に転職し、ソーシャルメディアマーケティング関連業務を担当。2012年に同社を退職後はフリーランスとして活動するかたわら、ネット接続型家電の企画・開発を行う株式会社Cerevoに参画。広報・マーケティング活動全般を担当する。2018年4月、Cerevo子会社からパナソニック傘下となった株式会社Shiftallへ転職。2020年よりフリーランスとして各方面で活動中。
著書『スマホ&タブレット"二刀流"仕事術。』『できるポケット+ Androidスマートフォン仕事術』『Chromecastの使い方 何ができる?』『知らないと損する! Dropbox厳選テクニック27』『今からはじめる! Dropbox超入門』(以上、インプレス)
ブログ「カイ士伝」 

本記事は筆者と編集部の独自の取材に基づく内容です。スマートニュースの公式見解ではありません。