Media × Tech

「Media × Tech」ブログはスマートニュースのメディア担当チームが運営するブログです。テクノロジーを活用した次世代のメディアとはどういうものか? そうしたメディアをどうやって創り出していくのか、を考えていきます。

"ニュースレター再注目”は何を意味しているのか?「出版業界ニュースまとめ」古幡瑞穂×藤村厚夫対談

ここ数年、ニュースレターに注目が寄せられている。読者のメールボックスに直接コンテンツを届け、エンゲージメントを強化するメディアのあり方は、「従来のメルマガとどう違うのか?」という疑問を投げかけられる一方、同じほどの期待も持たれている。

米メディアのニュースレター強化の方針は何度も報じられ、国内でも個人クリエイターを対象としたニュースレター配信プラットフォーム「theLetter」が〈年収換算で 1,000 万円を超えるような書き手が生まれた〉と発表し盛り上がりを見せている。

ニュースレターへの再注目は、読者と著者が一対一で向かいあう、より個人的で親密な体験を期待する流れによるものなのかもしれない。同時に、その属人性ゆえに、発信者の信頼性が大きな問題となる。この期待と問題は、ニュースレターだけではなく、SNSやPodcast、個人サイトにも共通しているだろう。

本記事では、ニュースレター「出版業界ニュースまとめ」を2019年から配信する古幡瑞穂氏、SNSでメディアビジネスのまとめを毎朝投稿する藤村厚夫氏に話を聞いた。ふたりが発信を続けているトピックや、続けるための工夫、使っているツールを伺いながら、「ニュースレター再注目」の中心となっているメディアの変化について尋ねていく。(Media×Tech編集部)



続けているわけではなく、やめられていない

――長らく個人で情報発信を継続している古幡さんと藤村さん。それぞれ、どのような形式・内容か教えていただけますでしょうか。

古幡 ニュースレター配信プラットフォームの「theLetter」を使って、1年365日、毎日朝に配信しています。出版業界と、その周辺の業界を中心に、日によりますが毎日20本程度のニュース記事を紹介しています。元々日販時代から社内向けにはやっていたのですが、外部に配信するようになったのは令和のタイミング(2019年)ですね。クリエイター向けプラットフォームのnoteにも同時に展開しています

「出版業界ニュースまとめ」の購読登録画面。登録すると毎朝まとめがメールで届くほか、theLetterのプラットフォーム上でも閲覧できる。同内容をnoteにも展開

藤村 僕はFacebookとTwitterに毎朝パラパラと投稿をしています。調べてみたら、2011年ごろから平日はほぼ毎日続けてきました。海外ニュースを中心に、メディアに関する記事を紹介しています。また、週末にはブログにトピックをまとめています

――メディア関係者と話すと、おふたりのまとめを見てから業務に入る……という人によく会います。おふたりとも朝一番に投稿しています。

古幡 藤村さん、だいたい何時に起きてらっしゃいますか?

藤村 僕はだいたい朝3時過ぎくらいです。扱っているものが海外のニュースなので、時差の関係でだんだん早くなりましたね。日本時間の午前3時はアメリカだと昼過ぎなので、その日のニュースが一通り出ている。集中できるのもやはり朝の時間なので。こんなに早くする必要はないんだけど(笑)、寝る前までにチェックした情報に加えて、寝ている間の何時間かで海の向こうで上がった新しい情報を朝にチェックして、投稿するという流れですね。

古幡 藤村さん、朝早いな……といつも思っていました(笑)。私は今は毎朝だいたい5時起きです。朝刊に載っていたニュースがWebのほうに更新されて出揃うのが大体6時ごろなので、そこからの約1時間でまとめ、配信しています。藤村さんが言うように、インプットの時間は朝が早い方がいいと思っています。

――ピックアップする内容に、基準はありますか?

古幡 基本的には私の興味そのものですが、基準となっているのは「出版業界の課題」ですね。実は出版業界の課題になるテーマはここ10年でも大きく変わっていて、しかも業界内だけではなく、周辺の業界で起こっていることも知らなければわからない。たとえば輸送の問題は年々大きくなっていますが、出版業界の中だけではつかめないことが多いんです。

その周辺の業界で何が起こっているのかまで含める、「出版業界」という輪っかの端っこのほうまでなるべく気をつけて拾うようにしています。出版業界の人たちは隣でやっている事を意外と知らないところがありますから、そこを自分ごとにしてもらうためにも、ちょっと広げようとしています。

藤村 古幡さんはかなり、“ホットなもの”を共有するスタイルですよね。僕もかつては「情報の早さ」に価値や手応えを感じていた時期がありました。最近はすこし違っていて、わりと以前の日付の記事も取り扱うようにしています。長くて詳しい記事は、しっかり読んだ上で紹介したいですし、重要なニュースであればいつ紹介してもいいのでは……と思うようになってきました。

古幡 藤村さんの場合、以前にアップされた記事に、藤村さんの視点からの考察やコメントが入っていますよね。だから多少昔の記事でも大丈夫なんだなと読んでいて感じます。

――SNSで時々ツイートすることはみんなやっていても、お二人のように、同一のテーマで息長く継続するのはなかなかできることではないと思います。

古幡 私は自分で太鼓判を押せるくらいの三日坊主で、何事も、思いついたらそのままやる、気づいたら飽きて終わっているタイプだったんです。それが、このニュースレターは、令和に入ってからは毎日ずっとやれていますね。お正月に朝から山に登って、山から帰ってきて昼更新という日もありました。

藤村 なんというか……続けているというより、やめられない人になっていて怪しい響きですね(笑)。

古幡 そうなんですよ! やめられなくなっているのかもしれません……。

 

まとめは「筋トレ」

――「出版業界ニュースまとめ」を始めたきっかけはなんでしょうか。

古幡 元々のきっかけは、前職の日本出版販売でMD(マーチャンダイズ)の仕事をやっていたことです。「世の中で何があるか」によって本の売り上げはすごく変わる。その情報キャッチの仕事を、入社のタイミングからやっていました。その情報収集が、インターネットの普及によって少し変わったんです。

簡単にいうと、Webで読めるニュースが有料になり始めた。業界紙で言うと、「文化通信.com」の有料版が始まったのが2005年ごろ。誰かが読んで重要な点をまとめて、偉い人に報告することが必要ではという流れになりました。

――それ以前から情報収集を行っていた古幡さんが、Webに関しても担当になったと。

古幡 2009年ごろから、社の上層部や周りのチームメンバーに平日毎朝業界情報をメールしていました。MDの仕事を離れても、業界情報を収集するのは習慣になっていて。令和になった時に「せっかくなので何か違うことをやりたいな」と思って、たまたまnoteで外向けに発信をし始めたのが、「出版業界ニュースまとめ」の前身になります。

で、結局noteで始めると、「メールを送って欲しい」という人がいっぱいいるわけですよ(笑)。たまたまそのタイミングで簡単にメールを配信できるツール「theLetter」を知って、手を出してみました。

――藤村さんが発信を始めたきっかけは?

藤村 「リハビリ」でしょうか。2011年ごろに、ある種リハビリというか、トレーニングをするつもりで取り組み始めました。専門家として、物を書いたり発言したりできるような人間でありたい。そのためには毎日のようにいろいろな情報に触れたり、その情報について自分が論評したりすることを続けていくことが必要じゃないかと。そういうことができていなかった自分を感じた時期でした。

古幡 2011年というと、東日本大震災は関係ありますか?

藤村 ありますね。震災は自分のメディア観や社会観を随分変えました。自分で立ち上げた会社を辞めたタイミングでもあった(※アットマーク・アイティ、合併後アイティメディア。藤村氏は代表取締役会長を務め、2011年退任)。

そんな変化があって、最低限自分 1人でも社会を論評していくことができるようなスタイルを模索したいなと思ったところは大きいです。それは今でも完成形ではなくて、まだ模索を続けている段階です。

――まとめを続けるなかで、どのような手応えを感じていらっしゃるんでしょうか。

古幡 手応えは、人に褒めてもらうときくらいですかね、そこを糧に生きているタイプなので……(笑)。でも、前職では、記者さんとのコミュニケーションに役立っていたなと。取材にやってくる記者さんの中に、出版業界特有の問題点や構造、歴史を正しく認識している人なんてほとんどいないんです。大体わからないまま取材にきて、わかっていなくて、あとで修正のやりとりをすることになる。

ただそんな記者とのブリーフィングでも、自分の頭の中にまとめの記憶があると「参考記事はこのあたりです」とまとめてお伝えできて、いい取材になったりしました。そこは便利でしたね。自分の中では情報をまとめる作業自体が筋トレみたいなものなのかもしれません。

藤村 「筋トレ」……すごく共感ですね。いざアウトプットを求められたときに、すぐ体が動く状態にしたい。古幡さんのシチュエーションとはちょっとだけ違いますが、僕は「このテーマを考えなきゃ」と思ったときに、自分が過去に投稿したものから検索するようにしているんです。そうすると、大体なにかしら触れている。だから自分でインデックスを作っている、自分のために情報を積んでいるという感じでいます。

古幡 出発点のMDでの情報収集も、入社の時点では業務ではなかったんですよ。当時、「ちゃんとよく見て、よく聞いて来い」とすごく言われていて。だから情報収集することは、どちらかと言うと「自己啓発」でした。自分の勉強とアウトプットを兼ねると、アンテナの感度が高まる……そういうとかっこよすぎるかもしれないですが(笑)、当時そういう意識でやっていた思い出があります。

――藤村さんは、反響が気になることはありますか?

藤村 あえて考えないようにしているんですよね。「こういう記事を扱ったり、こんなふうにコメントを付けると喜ばれるだろう」というのはときどき頭をよぎりますが、やめようと。

「いいね」やSNSのフォロワー数がどれくらいついてるか、時々気になることはあるけれど、難しいことを共有すればいいねなんてつかない。どれくらいの人が興味を持ってくれるかはわからないし、SNSの投稿の場合はアルゴリズムの影響でリーチ自体ががらりと変わります。そこで一喜一憂しないよう、関心が向かないように意識しています。自分が知りたいと思ったことのおすそわけをしているくらいに感じようと、自分と会話しているような感じですね。

 

有象無象の記事の中から「信頼」を見つける方法

――情報収集に使っているツールをうかがいたいです。

藤村 いろいろなRSSリーダー、今はなきGoogleのRSSリーダーなんかいろいろ試しました。いまはFeedlyとPocketがメインです。

古幡 その辺が私、うまく使いこなせなくて。使っているのはGoogle検索で、気になったものを全部「theLetter」のエディターに貼っています。最初に「どのメディアに出ているか」というところで信頼性のハードルを設けているので、信頼できないメディア以外のものはひととおり見ています。

――Google検索ですか!

古幡 Googleを24時間に絞って、キーワード検索をしています。注目しているテーマのときは、もう少し時間を広げて周辺のキーワードを見に行くことはありますね。検索ではなく固定で見ているサイトは基本的に新聞が多いです。SmartNewsアプリがそういう風に使えたらいいんですけどね(笑)。

藤村 僕のSmartNewsだとトップやプッシュにメディア関係の記事が出てきて、「アルゴリズム、わかってるな」と感じることはありますよ(笑)。

古幡 私のトップには猫ばっかりです(笑)。

――(笑)。最近だとGoogle Discoverはいかがでしょうか。

古幡 Discoverだと数日前の記事も拾ってきてしまって、やや遅さを感じるところがあります。使っていないわけではないですが、見落としを拾うような使い方です。自分でGoogle検索するのが一番早いですね。

――毎日やっているからこそ、24時間検索でうまく拾い上げられるんですね。検索では多種多様な記事が引っかかりますが、ニュースソースの信頼の基準をもう少しうかがいたいです。

古幡 そのあたりの考え方や基準は、前職で会社の広報を2年ほどやっていた時期での経験で構成されている部分が大きいです。広報は「できた記事」そのものではなく、「その記事がどう書かれているのか」こそをつかむべきだと思っているんです。記者は取材時に大なり小なり「書きたいストーリー」が決まっていて、こちら側が伝えたいことや答えたこととのギャップがある。それを調整していくのが広報の仕事でもあります。その2年間ではっきりと気づいたのは「いい記者と悪い記者の差はある」。良い記者は掘り下げがうまいし、悪い記者はストーリーを作りすぎてしまっている。「どうせ書いてもらうのであれば、この人に最初に書いてもらったほうがいいな」という感覚がわかってきますね。

そういう実感があるから、記事の署名はかなり見ています。「この人が取材しているなら、比較的安心して紹介できるな」ということがある。

――耳が痛いです。媒体でまず質の線引きがあって、さらに記者で線引きがあるという。

古幡 普段書いていないメディアが取り上げること自体は、悪いことではないんですけどね。早さはやっぱりあるし、業界紙がなかなか拾えないネタも拾う。だから決まったメディアばかり紹介しているわけではないんですが、正しさやクオリティにはやはり差が出ます。業界紙でもそれ以外でも、「この記事、踏み込みが足りないな」と感じるところは、あえてニュースレターで目立つところに置いておいて、「ちゃんと取材してほしい!」と念を込めて送信しているところがあります。

――ピックアップする中で、困ったことはありますか?

古幡 なるべく転載先ではなく、転載元のURLを紹介しようと努力するんですけど、やはり転載先、特にYahooの転載先が引っかかってしまうんですよね。その場合媒体に直接飛んでトップページから探すのですが、記事本数や取扱ジャンルが多いサイトだとまあ見つからない(笑)。元記事の照らし合わせがしんどくて、それがなければ調べる時間が10〜20分は早くなると思います。

 

注目している個人メディア

――個人メディアで注目しているところはあるでしょうか。

古幡 同じような「業界ニュースチーム」みたいなのができているのはうれしいですね。文春の柏原光太郎さんが「飲食業界ニュースまとめ」、菊池健さんが「マンガ業界Newsまとめ」を始めたり。

藤村 「STRATECHERY」には注目しています。ベン・トンプソンという個人が手がけていて、この人はブログはもちろん、Podcastもブログもニュースレターも全部やって、自分の情報発信のエコシステムとして食える状態を作り出した。課金の仕組みも自前のものを創りあげた。一本一本が長いので毎回紹介はできていないんですが、すごい見識です。無料で読める記事もたくさんありますが、さらにお金を払うとすごい情報が手に入るよ、という設計になっています。メディアビジネスを考えるときにこの人の仕事は重要だと思う。

古幡 おお、すごいボリュームですね。

藤村 ほかには、「THE INFORMATION」。これは4〜5年前にジェシカ・レッシンという女性ジャーナリストが創業した少人数で立ち上げた新興メディアです。最初から有料制で、月額4000円以上もします。でも今ではアメリカ西海岸のテック企業関係者は読まないと仕事をやってられないというくらい、すごい影響力のメディアなんですね。スタッフもだいぶ増えている。

――海外メディアは日本よりも有料メディアがうまくいっている印象がありますが、この「月額4000円」というのは、アメリカではどれくらいの価格感ですか?

藤村 立ち上げ当初は、あまりよくない言葉だろうけど「気は確かか!?」くらいに言われていましたね。そんな価格帯で成功するわけがない、というわけです。最初にこの価格設定で行こうと決めたことがまずすごい。そのマイナスの予想を覆し、いまや堂々たる評価を得て、成長を続けています。彼女はWall Street Journal出身なんですね。WSJは、価値の高いコンテンツには相応の料金を支払ってもらう、というスタイルで早くから有料オンラインメディアを運営してきていますから、そんな信念を引き継いでいるんでしょうね。

そのTHE INFORMATIONはニュースレターもやっているんですが、その運営方針にも感銘を受けました。商業メディアがニュースレターを出す時って、基本的には自分のサイトの新しい記事への誘導が目的じゃないですか。ところがTHE INFORMATIONは、他サイトの記事も紹介して、「今読むべきインパクトのあるニュース」の情報発信源を自社に限定せずに解説している。僕はいろいろな海外メディアニュースレターを購読していますが、このTHE INFORMATIONが一番、情報源に対して"壁”を持たずにキュレーションしていると感じます。

古幡 他社の記事を紹介して解説するのは、信頼度が上がりますね。出版社の営業も、自社よりも他社の本を説明する人のほうが信頼される。それだけ読んでいるということですから。

 

ニュースレター再注目は「Webの体験が劣化しているから」

――ニュースレターをはじめ、個人メディアの収益化についての考えもうかがいたいです。古幡さんは有料マガジン化などを検討したことはありますか?

古幡 「絶対有料でやるべきだよ!」という人に限って、お金を払わないんですよね(笑)。会社の事業ではないので、現時点では収益化は考えていません。登録者数から考えてもそこまで大きな額にはならないですし、逆にお金を受け取ってしまうと、なにかあったときの返金対応のことまで想像が働いてしまう。ただ、noteでやっていた時期にサポートで投げ銭してくれた方がいて、その人のことは一生友達だと思っています!

藤村 僕個人はマネタイズしたいと考えたことはないんですけど、ニュースレターやサイトなど個人がメディアを運用して収益を得ていこうというチャレンジは何年かおきに、いろいろな取り組みが生じていて、今はニュースレターでマネタイズという波があるように思う。

まだそれが十分に可能とは言えないけど、そういう状態になるといいなと思っています。そうなれば、メディアビジネスにとって非常に大きなターニングポイントになるので。「自分がお金を稼ぎたい」というよりは、「どんなことができるか」というのを試してみたいなとは思います。クリエイターが食っていくための仕組みとして、何が有効なのかに興味がある。

古幡 ニュースレターは欧米での熱狂の流れがあるけど、実は一周回ってわからないんですよね。メルマガとどういう点が違うんでしょうか?

私はいまはニュースレターを送信していますが、ニュースレターはメールボックス内にいったきりで、サイトに来なくていい種類のものなので、Webサービスやサイトとの相性がいいかというと……実はそこまででもないんですよね。私の「出版業界ニュースまとめ」でも、noteの方でだけ購読している人もいて、メールとWebとで半々くらいの印象です。

藤村 僕の想像だと、Webでの体験が劣化しているんだと思うんです。Webのビジネス、Webメディアのビジネスの法則が、今の忙しい人たちの気分と少しずつズレて、それを回避したい気持ちが生まれているのではないか。メルマガなんて原始的なものじゃないかと我々は感じるけれど、やはりその原始的な部分がノイジーなWeb全盛期の中で魅力的に感じられるのではないか。自分で選択できて、しかも分量も限定されている、無尽蔵ではない情報がうれしいというか。

――「無尽蔵の情報」に疲れているのかもしれません。しかもフェイクニュースの問題もあって、その中で「何を信じるか」を自分で決めなければいけない。

古幡 いまは誰でも「メディア」になれる時代ではある。その中で、確かなものを拾っていかなければいけないけど、客観的に評価する指標は何もない。信用スコア管理みたいなものもない。藤村さんがおっしゃっていたように、「いいね」の数も確かさを証明するわけではない。

信頼できる記者がしっかり浮かび上がって、そういう人がいいメディアに書いてくれれば、こちらとしては楽なんですけども……だから本当は、その「信頼」がキュレーションやアグリケーションメディアの役割なんでしょうね。SmartNewsでも、クリックの数やPV数ではなく、信頼性を測る機能や指標を持ってほしいなあ。本当はニュースってみんなにとっての「自分ごと」のはずだから、自分ごととしての「信頼できる記事」をいっぱい読めるようになるといいなと思っています。

 

 

 

古幡瑞穂(ふるはた・みずほ)

本屋大賞実行委員会理事/ブックマーケター

1997年立教大学法学部卒業。日販入社後、特販営業部、楽天ブックス(株)等を経て、2003年よりマーケティング部門にて、データマーケティング・販売企画の業務を中心に担当。MD課長、広報課長等を経て2022年3月に退社。現在は日販のマーケティング部アドバイザーとしてデータマーケティングツール開発等の業務に携わる。

 

藤村厚夫(ふじむら・あつお)

スマートニュースフェロー/スマートニュース メディア研究所フェロー

1978年法政大学経済学部卒業。90年代に、株式会社アスキー(当時)で書籍・雑誌編集者、日本アイ・ビー・エム株式会社でマーケティング責任者を経て、2000年に株式会社アットマーク・アイティを起業。その後、合併を経てアイティメディア株式会社代表取締役会長。2013年よりスマートニュース株式会社 執行役員 メディア事業開発担当など歴任。