Media × Tech

「Media × Tech」ブログはスマートニュースのメディア担当チームが運営するブログです。テクノロジーを活用した次世代のメディアとはどういうものか? そうしたメディアをどうやって創り出していくのか、を考えていきます。

タピオカの記事はいつ読まれる? 時間は? 曜日は? 年齢層は? 調べてみました

2019年、流行語大賞にノミネートされた「タピる」。タピオカを飲むことを指す流行語です。今年流行ったスイーツの代表として、タピオカを思い浮かべる人は多いでしょう。実際、東京商工リサーチの調査によると、「タピオカ屋さん」は2019年3月末時点では32社でしたが、2019年8月末時点で60社と半年でほぼ倍増しています。

SmartNewsでは、そんな2019年の寵児「タピオカ」の記事がどのように読者に読まれたのかについて、そもそもの流行の始まりを探りつつ、読者の閲覧動向から分析してみました。
次の流行スイーツが出た際の記事制作のヒントになれば幸いです。

本記事は、良質なコンテンツとその担い手に贈るアワード『SmartNews Awards 2019』を記念して執筆されました。

調査方法

  • 期間:2019年1月1日〜2019年10月31日
  • 対象:SmartNewsで閲覧された記事でタイトルに「タピオカ」を含む全6000記事

タピオカの流行、記事本数とPV、Googleトレンドから傾向を計測

それでは、まずはメディアにおけるタピオカの扱われ方、話題ぶりを追っていきます。今年の1月〜10月までを対象期間とし、「タピオカ」がタイトルに含まれた記事本数とその記事から発生したPVを月ごとに集計しました。

現在、SmartNewsは3000以上の提携媒体から記事を配信いただいています。そのなかで、記事タイトルに「タピオカ」を含む記事は6000本ありました(比較として令和の改元関連記事が4〜5月にかけて15000本)。

次に、タイトルに「タピオカ」を含む記事数の変動を追っていきます。まず、今年に入って以降5月まで緩やかに上昇、その後急増し、7月にピークを迎えます。閲覧(PV)もほぼ同様の傾向をみせ、6〜8月が目立ちその後減少します。なお、検索キーワードの推移がわかる「Googleトレンド」でも同様の傾向が確認できます。

タピオカGoogleトレンド比較

この一致からも、タピオカのブームが今年頭から6月に向けて緩やかに加速していき、その後8月をピークに減少していったことが推測できます。また、SmartNewsでの受動的な閲覧行動と、Google検索という能動的な行動のトレンドが一致していることも興味深い点です。

どんな記事が読まれたか?

1月〜4月にかけては、ブームの初期であったことから、各企業がタピオカの店舗を新規開店させたり、バリエーション豊富なタピオカドリンクの販売を試みたりしていました。そのため各媒体も、店舗のオープンに関する記事、自宅でタピオカを楽しむためのレシピなどを配信。全体として、ストレートなグルメ・レシピ情報としての記事が割合として多くを占めました。


ブームが本格化し始めた6月からは、メディアにおいて一連の流れを「社会的事象」として捉える動きが顕著となり、「コラム」の記事が増えていきます。タピオカの急激な大量摂取による健康被害や、主なターゲットである若年女性の購買行動についての問題提起をする記事も散見されるようになりました。

特に読まれた記事は、タピオカドリンクのゴミの問題を取材した『タピオカミルクティーのポイ捨て、飲み残しに虫…インスタに出てこない悪影響』(弁護士ドットコム )や、『タピオカドリンクは「1日何杯まで」が限度?』(フロントロウ)『タピオカの飲み過ぎで病院搬送された14歳の少女、体内から未消化のタピオカが100個以上発見される』(FINDERS)といった記事です。

ブームのピークと交差する7〜8月になると、今度は「経済(ビジネス)」ジャンルの記事がより注目を集めるようになります。タピオカブームが、日本経済という観点で見ても大きな出来事であったことがうかがえます。

また、SmartNewsの「グルメ・レシピ」「コラム」「経済」の3チャンネルの平均PVを比較すると、経済、コラム、グルメ・レシピの順に高い数値となりました。ただし記事本数は「グルメ・レシピ」が圧倒的に多く、「経済」がもっとも少なくなります。

タピオカ ジャンルごとPV平均

グルメ・レシピ コラム 経済
平均 5,085 8,615 13,502

タピオカジャンルごと記事数

なぜそこでPV数の逆転が起きるかというと、ひとつには、SmartNewsのアルゴリズムに実装されている重複排除の仕組みがあげられるでしょう。これは完全に重複する内容の記事をアプリ上で大量に表示させないための仕組みであり、「グルメ・レシピ」ジャンルに多く見られるプレスリリースの記事などが、これによって掲出を制限されていると推測できます。なお、SmartNewsのアルゴリズムによる記事掲出量・順序の調整は複合的な理由で成されるため、これのみを要因とするわけではありません。

誰が読んだのか?

タピオカ 男女比率の推移
SmartNewsの読者像は、性別分布では男女半々。年齢を見ても、40〜50代をボリュームゾーンとしつつも幅広い層に使っていただいていることがわかります。タピオカ記事に関してはやはり女性が多く閲覧していますが、6月から男性の閲覧も増えていきました。

タピオカ 年代別PV推移
年齢層を見ても同様で、6月からは全年代が増えています。増加率では40代以上が多く、先に紹介したコラム・経済記事が増えたことから、それ以前よりも幅広い年齢層に読まれるようになったと推測できます。

いつ読まれた?

タピオカの1日のPV
SmartNewsアプリは、7時、12時、18時、22時と1日に4回の定時プッシュを送る仕様となっており、必然的にそのタイミングで起動・記事閲覧が多くなります。そのタイミングでのタピオカ記事のアクセス状況を見ると、プッシュのタイミングと顕著に連動しつつも、夜に向けて閲覧が増えていく傾向を確認できます。

加えて、時間帯だけでなく、曜日ごとの特徴もあるのかを調べてみました。SmartNewsへの配信記事全体を見ると、平日・土日のPVや記事本数に大差はありません。

タピオカ 曜日別記事本数とPV
一方タピオカの記事に目を向けると、もっともよく読まれるのは金曜日でした。また土日の記事本数は顕著に少なく、比例してPVも減ります。さらに特徴的なのは木曜日で、記事本数がやや少ないだけでなく、PVが他の平日と比較してかなり少ないという結果が出ました。

なぜ木曜日なのか、という点を深く推察するのは他の機会に譲りますが、記事にはっきりとした特徴がなければ、木曜日の読者はタピオカ記事をあまり読みたくない、のかもしれません。

まとめ

  • タピオカの流行は今年頭より緩やかに始まり、夏にピークを迎え8月以降減少。
  • 当初は「グルメ情報」としてのタピオカ記事が多かったが、6月以降「タピオカブーム」そのものに言及するコラム記事、経済関連の記事が増え、読者層を広げた 。
  • 記事の閲覧時間は夜に向け増え、特に金曜日に多く読まれた。

特定のスイーツの流行は、今や毎年の風物詩のようになりつつあります。次の流行スイーツが出た際には、2019年の「タピオカ」ブームも参考にできるかも!(しれません)

著者紹介

有野 寛一(ありの・ひろかず)

有野 寛一


スマートニュース株式会社 メディア事業開発

前職ではSmartNewsAwardsを受賞した週刊アスキーのWebプロデューサー。その知見を活かした媒体社様とのコミュニケーションを担当する。大手ポータル、SNSでの経験から情報発信と受信に課題を持ち現職へ。インターネットで流通するニュースが好き。



本記事の分析は、SmartNewsアプリでの掲出アルゴリズムとは一切関係ありません。