Media × Tech

「Media × Tech」ブログはスマートニュースのメディア担当チームが運営するブログです。テクノロジーを活用した次世代のメディアとはどういうものか? そうしたメディアをどうやって創り出していくのか、を考えていきます。

イチロー引退とラグビーW杯で考える、2019年のスポーツ読者はどう変わったのか

スポーツ情報をチェックする読者に対して、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。読者の特徴や具体的な変化を知ることは、記事制作や企画立案において大きく役立つと考えられます。

そこで今回は、2019年のスポーツの話題から、とりわけ大きな注目を集めた「イチロー引退」「ラグビーW杯」という2つのテーマを選び、SmartNewsではどんな読者がこれらのトピックを追っていたのか、さらにその読者に、SmartNews全体の読者と比較してどんな特徴があるのかを調べてみました。

さらに「ラグビーW杯」については、ラグビーという競技自体への注目度を飛躍的に高めたエポックメイキングなイベントであったことから、今年の大会を通じて読者層がどう変わったのか、データで比較してみました。


本記事は、良質なコンテンツとその担い手に贈るアワード『SmartNews Awards 2019』を記念して執筆されました。

調査方法

イチロー引退(2019年3月21日引退発表)

  • 期間:2019年3月17日〜3月31日
  • 対象: SmartNewsで閲覧された記事でタイトルに「イチロー」を含む記事

ラグビーワールドカップ(2019年9月20日〜11月2日開催)

  • 期間:2019年9月1日〜10月20日
  • 対象:SmartNewsで閲覧された記事でタイトルに「ラグビー」を含む記事

※「イチロー引退」「ラグビーワールドカップ」という分類は本記事の分析のための分類であり、SmartNewsアプリでの掲出アルゴリズムとは一切関係ありません。

それでは、さっそく分析結果をご紹介していきます。

「イチロー引退」を読む読者は、40代が多い

まずSmartNews全体の性別年齢分布をご紹介します。

SmartNewsユーザー割合

そして、ここからはテーマ別のデータです。「イチロー引退」に関する記事を読んだ読者の性別年齢分布を出してみました。
対象期間は2019年3月17日〜3月31日です。

イチロー引退 ユーザー割合

SmartNews全体のデータと見比べたとき、「イチロー引退」に関する読者は男性が19%ほど多いようです。さらに、年齢層で見ると40代の比重が高いことがわかります。

つまり、「イチロー引退」に関心を持つコア読者像は、「40代男性」であったと言えるのではないでしょうか。この結果は、皆さんにとって想像通りでしたか?

イチローは引退時、45歳です。想像の域を出ませんが、コア読者がイチローと同世代であることから、同世代としての憧れや共感が関心のフックになっている可能性はありそうです。

ラグビーW杯は女性読者をどこまで巻き込んだのか

続いて「ラグビーW杯」について調べてみます。

「ラグビーW杯」は、スポーツに関する話題としては今年一番の注目度だったと思います。これまではサッカーや野球に比べてマイナーな立ち位置にあり、メディアでの取り上げられ方もあまり大きくありませんでした。

しかし2019年の日本ラグビーは、成績の上でも注目度という点でもまさに大躍進。ラグビーという競技自体の魅力を広く知らしめることとなりました。それではW杯を挟み、一連の活躍と注目から、SmartNewsでの読者層も変化したのでしょうか?

まず、結果のご紹介の前にW杯についての復習です。ラグビーW杯の日本戦があったのは下記日程でした。

  • 9月20日金曜 予選
  • 9月28日土曜 予選
  • 10月5日土曜 予選
  • 10月13日土曜 予選
  • 10月20日日曜 準々決勝

これをふまえて各データを見ていきましょう。はじめに、日本戦が始まる前、つまり9月19日までの、「ラグビー」をタイトルに含む記事に反応した読者を見ていきます。

ラグビーW杯日本戦開幕前

続いて、日本戦開催中のデータをみてみます。

f:id:sakihaya_sn:20191217131547p:plain
(12/17 13:30 画像修正。左の円グラフの男性の数値について誤りがありましたので修正しました)

W杯前とあとで、ざっくりとこんな変化がありました。

  • 女性比率、微増
  • 年齢層は一番増えたのがOver65

ところで、再度SmartNews全体の性別、年齢分布をみてみましょう。

SmartNewsユーザー割合

SmartNews全体の読者情報、特に男性の年齢構成と、ラグビーW杯日本戦開催中の年齢構成を比較してみてください。かなり似通った構成になっていることにとお気づきになるかと思います。

つまり、ラグビーというトピックは、W杯の開催を契機に、より男性にとって一般的な話題に近づいたといえるのではないでしょうか。

ラグビーがこのまま注目度と人気を高めて、さらにメジャーなスポーツへと進化していくのかどうか、2020年の動向も楽しみですね。

今回行ったのはシンプルな分析でしたが、ひとつのトピックについて読者の属性や動向の変化を観察することで、どのタイミングでどんな記事を発信していくべきかのヒントをつかむことができそうです。たとえばW杯のように長いイベントがあった時、その前後で読者の属性に変化が起きていることを想定し、過去にも取り上げたテーマを、切り口を変えて再度届けるといった戦略が有効になるかもしれません。

ぜひ定期的に読者の性別や年齢構成を確認して、読者の変化を敏感にキャッチしてみてください。




著者紹介

和田 のぞみ (わだ・のぞみ)

和田のぞみ

スマートニュース株式会社 メディア事業開発

より快適に媒体社様がSmartNewsへ記事配信ができるようサポートや分析を担当。
Webエンジニアからの媒体運営、広告代理店と、インターネットに関わるペインを解決すべくキャリアを重ねてきた。とにかくインターネット好き。



本記事の分析は、SmartNewsアプリでの掲出アルゴリズムとは一切関係ありません。